7.アドバイザーとの初回面談時に確認すべき事項

7-1. 確認事項

アドバイザーのアイミツを取る際に、

  • 担当者
  • 買い手候補企業
  • 売却可能額
  • 支援内容

について必ず確認してください。

担当者については、
誰がプロジェクトマネージャーで、誰が具体的な作業を担当するか、
主担当者の過去の実績や経験について確認してください。
初回面談で資料を要求されたり、事業内容、財務状況や売却理由について質問されますので、
その質問力、情報収集力もチェックポイントです。

  • 信用できそうで長期間一緒に汗を流せる相性のよさそうな人物であること
  • プロの腕(知識、技術、経験、ネットワーク)を持っていること

が担当者に関する2大チェックポイントです。
さらに次のポイントもチェックしておきましょう。

  • 途中で担当者が変更になる可能性がないこと
  • 専門性の高いことをわかりやすく丁寧に説明できること
  • 言うことが二転三転していないこと
  • 業者の都合(早く、簡単に仕上げたい等)を押し付けるタイプでないこと

なお、秘密のはずの他社詳細情報を明かすような営業最優先タイプは注意が必要です。
あなたが次の被害者になる可能性があります。

買い手候補企業については、
提出した資料を基礎に、どの会社が買い手候補になりうるか、を必ず聞いてください。
なぜ選んだのかについて確認すると担当者の力量を評価できます。
相手選びは売却価格を半分以上決定づける最重要ポイントです。
優秀なM&Aバンカーは常に幅広いビジネスの成功条件についてアンテナを張っています。
1時間も説明すれば可能性としていろいろ思いつき質問事項があふれてくるものです。

  • 売り手企業の状況を説明してもビジネスの本質にピントが合ってこない
  • 同業が唯一の選択肢のように決めつける

といったアドバイザーは、冒頭(1-2)のケースAしか思いつかないタイプでしょう。

売却可能額については、
レンジ(価格帯)で構いませんので具体的な金額を確認し、
必ず、その計算根拠も確認してください。

アイミツの前に、自ら少し調べて、同業M&Aの最近の倍率水準を知っておくと
アイミツ業者の提示価格の妥当性を判断できると思います。
広範囲かつ深度ある理解の上で、実際にマーケティングをしてみないと
どんなM&Aのプロでもピンポイントで数字を出すことはできません。
買い手にもスケジュールやタイミング、大義名分、予算制約、自力での事業拡大といった他の選択肢があるのですから。
理解もマーケティングもしていないうちに、
単純な計算式によるピンポントの数字を提示するのは
安値回転率重視タイプの業者である可能性があります。

支援内容については、
(A)のみか、(B)も含まれるのか、
(B)についてはどの程度のクオリティのサービスを提供できるのか、
自分が必要とするサービスが含まれるか、
について必ず確認してください。
全て確認し、納得することができたら、信頼でき、腕の立つアドバイザーだと思います。

〈M&AバンカーとM&Aブローカーの見分け方〉

売り手が自ら判断した結果、M&Aアドバイザーへの依頼内容として、
相手探しと最低限の事務(A)のみならず、(B)も含めたい場合、
FAとM&A仲介のうち、FAが有利であることを説明しました。

注意しなければならないのは、契約タイプとしてFAを選んだつもりでも、
担当者個人が、能力的に十分(M&Aバンカー)でなければ意味がないという点です。
2、3回会っただけで契約するかどうかを決めなくてはならないケースが一般的ですから、
担当者個人の能力レベルを短時間で確認する方法があると安心です。

M&Aアドバイザーは、担当者個人のレベル別に、
■ M&Aバンカー
■ M&Aブローカー
の2種類に大きく分けられます。

セルサイドFA(売り手に付くFA)は、M&Aバンカーであることが絶対的に要求されます。
金融、不動産、医療、先端事業など、業種固有の要素が重要な場合には、
さらに業界スペシャリストであることも必要でしょう。

M&Aバンカーと呼べるためには、

  1. 経済・金融環境といったマクロ情勢に関する知識
  2. 広範囲の事業の仕組み(ビジネス・モデル)に関する深い見識
  3. クライアントや関係者のニーズを満たすストラクチャリングの能力
  4. わかりやすく、的を射た提案資料や開示資料を作成する能力
  5. 買い手の重役等との間で長期間かつハードな交渉をする能力
  6. バリュエーションやデューディリジェンスを自ら遂行できる能力
  7. バイサイドDD ベンダー(会計士・税理士・弁護士)と渡り合えるM&A 専門知識
  8. 複雑な条件を含む各種契約書を自ら作成できる能力
  9. 財務/管理会計・M&A 法務・M&A 税務に関する広範囲の専門知識
  10. クライアントのニーズを叶えるため、クリエイティブに解決策を考案・実行する能力が最低でも必要です。

一番重要なのは、10の「クリエイティブな解決策の考案・実行力」で、1から9は、10のために必要な
基礎スキルと言えます。
10を提供できる人のみ M&Aバンカーと呼ばれます。
一方、10を提供せずセルサイドに付くM&A業者はすべてM&Aブローカーと分類できます。
契約タイプがFAだとしても、相手探しと最低限の事務(A)が中心となり、
当初の期待を大きく上回るような成果(大成功)は期待しにくいでしょう。
大きな成果の原因が10そのものですので当然です。

税理士や会計士等でFAサービスを提供している業者もいますが
M&Aバンカーとしての経験を積んでいない人が大半で、
士業としての専門知識の個別事象へのあてはめ作業が得意な人ですので、
バイサイドのFAまたはDDベンダーがフィットしているケースが多いと思います。
士業の知識は9を構成していますので、M&A バンカーにとっても必要ですが、
それだけでは圧倒的に不十分ということです。

ふさわしい能力を持っているM&Aバンカーであれば、
質問したことに対し、理由や事例(守秘義務に抵触しない範囲)とともに、
わかりやすく論理的に回答してくれるはずです。
さらに、市場や会社の状況や売り手の心配ごとをふまえ、
期待していた回答以上の「提案」を即座に返してくるはずです。
しつこく徹底的に気になることについて質問しても、
大半のことについては即答してくれますので、
面談終了後、(期待通りかはともかく、)間違いなくスッキリしているはずです。

一方で、M&Aブローカーに多いのは、
みなさんこういう内容で納得してます。」
「M&Aってこういうものなんです。」
普通は、●●●に●●●●の[3]倍を足した価格で売却できます。」
このような実質的に回答から逃げている、またはパターン営業のタイプは、
M&Aブローカーと判断して間違いないでしょう。
なんとなく業者都合を押し付けられた感じがするため、
間違いなくスッキリしていないはずです。

M&Aは、売り手のほぼ全員にとって一生に一度しか経験しない特殊な状況ですから、
情報の非対称性を利用される余地が大きい(情報を持つ方が有利に、情報を持たない方が不利な条件で取引が成立)と言えます。

どんなことでも、納得できるまで質問してから M&Aアドバイザーと契約しましょう。

ぜひ、会社の売却を成功させて下さい。